甘口辛口郷土料理「きりあえ」
地域のお年寄りが集う「ふれあい昼食会」におじゃましました。
献立のなかで好評だったのが「きりあえ」です。
「きりあえ」は新潟市西蒲区の郷土料理で、大根のみそ漬け、黒ごま、大葉、柚子の皮をみじん切りにして砂糖で合えた真っ黒なふりかけです。農家が幕府に搾取されていた時代、法事や葬儀の時に白いご飯を食べていることを見咎められないように、ご飯にかけて隠すために考え出されたものだそうです。
大葉とごまの風味が香ばしく、ユズのさっぱり感がとても良く合い、ご飯が何杯でもいけます。
大根のみそ漬けは、乳酸菌や食物繊維などが摂れます。大葉は発汗作用、胃の働きの促進、利尿作用に優れた効果があり漢方生薬として馴染みの深いものです。黒ごまは抗ガン作用が高いといわれ、アントシアニンは抗酸化作用を持ち免疫力を高めます。
「きりあえ」は当時の人々の工夫から生まれた素朴な料理ですが、栄養的にも郷土料理としてもその価値は高く、当時の人々の食べ物に対する知恵の一端を垣間見ることができました。
新潟日報「甘口辛口」連載(2011年)