甘口辛口「おいしさと健康」
『母親が子供につい言ってしまう言葉アンケート』の上位は、「さっさと起きなさい」「さっさと着替えなさい」「さっさと食べなさい」だそうです。朝の忙しい時間、どこの家庭でも多少は経験していることでしょう。
食事をしているとき、私たちは情景や楽しさなどの体験を味と共に記憶し、それが「嗜好」となっていきます。
懐かしい味、おふくろの味、本場の味、旬の味などがそれです。「おいしい」と感じたときに受け取る脳の受容体は、小鳥が鳴いたときに心地よさを感じるところと同じと言われています。この時、私たちは幸せを感じ元気になります。
子供の毎日の食事が楽しく幸せな時間であれば、その経験が成人になっておいしさや嗜好として続き、よい食生活を維持して心と身体の健康につながっていきます。
せき立てられるようにただ黙々と食べる食事。子供だけでなく肥満やアトピーに悩む人は、食べる速度がとても早い傾向にあります。「何を食べるか」と同時に「どのように食べるか」もとても大切です。
新潟日報「甘口辛口」連載(2011年)